夫婦であった事実があったら離婚しても年金を分割できる年金分割制度。専業主婦(夫)などの第3号被保険者だけが申請できる3号分割と、共働きで相手の扶養に入っていない場合でも申請できる合意分割があります。
今回は合意分割の内容、申請方法について解説します。3号分割は相手の合意なしで申請できるので手続きも単純で分かりやすいのですが、合意分割は相手の合意が必要なため少々面倒な手続きになっています。
合意分割とは
平成19年4月1日から始まった年金分割制度。婚姻期間に加入していた厚生年金記録を分割するのは3号分割と同じ。3号分割との違いは以下の3つです。
3号分割との違い
- 離婚成立後でないと申請できない
- 相手の合意が必要なこと(合意が得らない場合は裁判)
- 任意の割合で年金分割できる
- 共働きで相手の扶養に入っていない人でも申請できる
- 内縁関係については片方が第3号被保険者(専業主婦など)の場合のみ認められる
合意分割の申請方法
まず、年金事務所で「年金分割のための情報通知書」を入手します。これは厚生年金記録が記載されたものです。分割割合を決めるのに正確な情報が必要になるためです。離婚成立後ならどちらか一方だけでも手続きできます。
- 申請者の年金手帳もしくは基礎年金番号通知書
- 戸籍謄本もしくは抄本(婚姻期間の記載があるもの)
- 内縁関係の場合は住民票など同棲を証明する書類も必要
次に分割割合を話し合いで決め、年金事務所に2人(もしくは2人それぞれの代理人)で行き「年金分割の改定請求」を行います。
- 年金分割の合意書(2人分)
- 元夫婦の年金手帳
- 元夫婦の戸籍謄本
「年金分割の合意書」は決められた文例にあわせて作成するものです。様式は年金事務所に準備されています。
合意はもらったけど、相手に会いたくない場合は一人でも手続きできます。その場合は上記の書類に追加で以下のどちらかが必要になります。
公正証書もしくは私署証書の抄録謄本
公正証書は公証人(元裁判官・元弁護士など)が作成した書類内容が正しい事を証明するものです。私署証書は一般人が作成したものを公証人に見てもらって書類内容が正しい事を証明するものです。
どちらも公証役場で作成します。公証役場は各都道府県の人口の多い地域の市役所に窓口があります。
相手が合意しない場合
家庭裁判所での調停(弁護士が間に入って話し合いによる解決を図る)で合意できなければ審判(裁判官による判断)します。裁判所のお世話になる前に、親族などを間に入れて話し合いで解決するのが望ましいです。
裁判手続きによって分割割合を決めた場合、「年金分割の改定請求」(年金分割の申請)をする時に以下のものが必要になります。
- 調停(和解)の時・・・調停調書の謄本
- 審判(判決)の時・・・審判所の謄本および確定証明書
どちらの場合も家庭裁判所へ請求します。
合意分割は任意の割合で年金分割できますが、大体の人が50%で折半するそうです。ケンカ別れによる離婚だとしても裁判手続きする手間を考えたら話し合いで解決して、2人で年金事務所へ行くのが得策です。最後の合同作業です。