幸せな老後生活で最大の敵「認知症」。自分がどんなに頑張っても、誠実に生きてきたとしても認知症になると全てが”無”となります。

決して認知症の人を軽蔑しているわけではありません。自分が認知症になった時のことを考えると、あまりにも恐怖を感じずにはいられないからです。認知症の進行を遅らせることはできますが、根本的治療法は現在のところありません。

実際に自分の親や親せきなどが認知症にならないと、認知症の深いところまでは知ろうとはしません。認知症についての理解を深めておけば、自分が認知症になった時でも早めの治療で進行を遅らせる事ができます。

決して他人事では認知症について解説していきます。

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認知症と単純な物忘れの違い

加齢による脳機能低下によって誰しも暗記能力が衰えたり、物忘れが多くなってきます。老化による正常な範囲での物忘れと認知症の物忘れは別物である事を知っておきましょう。

加齢による正常な範囲の物忘れの場合は、何かヒントがあれば思い出すことができますが、認知症の場合は体験や存在そものを忘れてしまいます。

認知症の種類

認知症にはいくつかの種類があります。認知症とはそれらの病気の総称になります。同じ病気だとしても症状・進行速度には個人差があります。

認知症の中でも以下のものは4大認知症と呼ばれる代表的なものです。

4大認知症
  • アルツハイマー型認知症
  • レビー小体型認知症
  • 血管性認知症
  • 前頭側頭型認知症(ピック病)

アルツハイマー型認知症

認知症で最も多いのが「アルツハイマー型認知症」です。認知症患者のおよそ半数を占めます。脳が萎縮していき認知機構が低下していきます。

特徴的な症状は認知機能障害、徘徊です。自分の家が分からなくなったり、自分自身の名前を忘れてしまいます。

アルツハイマー型認知症の初期症状は物忘れですが、最近の事ほど忘れやすくなります。

レビー小体型認知症

脳に蛋白がたまり、神経細胞が少しずつ減少していきます。

症状が独特で認知機能障害の状態が良い時と悪い時があります。実在しないものが見えると錯覚する幻視、妄想。体が硬直するパーキンソン症状などです。

初期症状は便秘、嗅覚異常、うつ症状、睡眠状態で奇声を上げたり暴れたりするレム睡眠行動障害が現れることが多いです。

脳血管性認知症

脳梗塞や脳出血などによって脳の一部が壊死したことが影響して発生する認知症です。

症状は認知機能障害ですが、ある事はしっかりと覚えているけれど、ある事は全くできない「まだら認知」と言われる症状が特徴的です。また、壊死した部分によって違ってきますが歩行障害、言語障害、手足の麻痺、感情のコントロールができなくなるなどの症状があります。

大きな脳梗塞や脳出血を起こした時には急激に症状が進行しますが、本人が気づかない小さな脳血管障害を繰り返すことによって徐々に進行していく場合もあります。

初期症状は物忘れです。血管性認知症の場合、脳梗塞や脳出血などが原因になるので生活習慣病予防が非常に効果のある予防方法です。

前頭側頭型認知症(ピック病)

脳の前頭葉と側頭葉が萎縮する「前頭側頭型認知症」のひとつです。「ピック球」と呼ばれる異常物質が脳の神経細胞の中に生じる認知症のため、ピック病とも呼ばれています。

40代からと若い世代に多く発症する認知症のため、うつ病などと診断されてしまうケースもあります。

主な症状は人格の変化です。怒りっぽくなったり、横柄な態度をとったりします。反社会的な人格になって万引きや窃盗などを起こすこともあります。また、毎日決まった時間に決まったことをするこだわりが強くなり、それを制止すると暴力的になる症状は初期段階から多く見られます。

このピック病に関しては進行を止める薬がありませんので、周囲の人の理解と協力が大切になってきます。

認知症になる原因

現在でも認知症になる原因は明確になっていません。しかし、生活習慣病が認知症に大きな関わりがあることは判明しています。

認知症予防を行ったからといって必ずしも認知症を防げるわけではありません。その逆で、認知症予防をしない人が必ず認知症になるわけでもありません。

それならば、好きなものを食べて好き勝手に生きて行く方がいいと考える人もいるでしょう。その判断は決して間違っているわけでもありません。人生最後の時に自分自身で納得できたなら、それも幸せな老後だったと言えるでしょう。ただし、認知症が進行した状態で人生の振り返りを正常にできるかどうか分かりません。

少し意地悪なことを書きましたが、認知症予防の基本は生活習慣病対策なので”健康な体”を維持することにつながります。老後もバリバリ働いて、バリバリ遊びたいと考えているならば認知症予防は必須です。

認知症予防はリア充すること

認知症予防の基本は生活習慣病対策であると紹介しましたが、それも含めて「リア充」であることが大切になってきます。「リア充」とは現実(リアル)の生活が充実した生活のことです。

まずは基本となる生活習慣病対策から見ていきましょう。

生活習慣病対策

生活習慣病対策の基本は健全な生活スタイルです。

バランスのとれた食事

バランスのとれた食事の基本は「主食 + 主菜 + 副菜 + 汁物」です。日本食がまさにそれで、「ご飯 + 焼き魚 + 小鉢 + 味噌汁」です。

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決して肉やラーメンなどがダメなわけではありません。過剰摂取がよろしくないのです。特に一人暮らしなどで何も考えずに食事していると、自分の好きなものばかり食べて過剰摂取な状況に陥りやすいです。栄養バランスのとれた食事を心がけましょう

質の良い睡眠

睡眠時間の確保は生きて行く上で重要な要素ですが、過剰な睡眠もよくありません。若い人たちは週末の「寝だめ」で平日の嗣明不足を取り返す人も多いですが、これは逆に悪影響を起こしている研究結果もあります。

基本は毎日決まった時間に床に就き、決まった時間に目覚めるのが理想です。

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また、適切な睡眠時間は7時間が目安とされていますが個人差があります。朝起きた時にスッキリと目覚められる時間を知ることが重要です。最近では睡眠アプリなどで自分の睡眠状態を確認できるのでおすすめです。

適度な運動

適度な運動の基本はウォーキングです。1日20分程度を目安にすると良いでしょう。冬の寒い日など億劫に感じる人はスポーツジムなどを活用するのもおすすめです。お金を支払っている分、快適に様々な運動をすることができますし、継続しやすくなります。

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リア充

認知症予防に限らずリア充していることは幸せな老後の必須条件です。リア充と聞くと、旅行や習い事などをイメージする人が多いかと思いますが、リア充の基本は人と接する事です。

特に仕事一筋から定年退職した人は人間関係が気薄になりやすく、コミュニケーションをとる機会が激減します。孤独感からくるストレスは認知症リスクを高めてしまいます。

簡単なシニアバイトやボランティアなど人と接することができる機会を自分から作ることが大切です。近所の井戸端会議に顔を出すだけでも全然違ってきます。

コミュニケーションをとるのが苦手で人と接することが嫌な人もいます。そういう人でも全く誰とも話さない環境は悪影響を及ぼします。3日に1回、週1など自分に適切な頻度でいいので誰かと話す機会を設けましょう。

ポイント

認知症にはいくつかの種類がある。認知症予防すること自体が幸せな老後になっていく。