年金って老後にもらえるお金ってぐらいにしか思っていませんか?

特に会社勤めの人は給与から引かれている”経費”ぐらいにしか考えていない人が多いです。老後になって必要に迫られないと興味がでてこない年金ですが、大まかな概要を知っているだけでも全然違ってきます。細かいところは抜きにして年金の基本的なことを解説します。

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公的年金の種類

現在の公的年金は会社員の人などが加入する厚生年金と自営業の人などが加入する国民年金です。(公務員などが加入していた共済年金は平成27年から厚生年金に統一されました)

厚生年金は会社が保険料を折半してくれます。会社員の人は厚生年金だけに加入してると思っている人も多いかと思いますが、実際は「国民年金+厚生年金」に加入しています。厚生年金の方が受給される年金が多いのはこのためです。また、国民年金だけの加入者が厚生年金と同様に上乗せできる制度として「国民年金基金」があります。

支給される年金の種類

年金では老後の資金だけでなく、万が一のための年金も支給されます。国民年金と厚生年金で名称が違いますが、内容は同じです。

国民年金で支給される年金
  • 老齢基礎年金・・・老後の生活費として支給
  • 障害年金・・・病気、事故などで障害状態になった場合に支給
  • 遺族年金・・・被保険者が亡くなった場合に支給
厚生年金で支給される年金
  • 老齢基礎年金 + 老齢厚生年金
  • 障害厚生年金
  • 遺族厚生年金

年金の加入期間と受給資格

【国民年金の加入期間】

20歳~60歳の人はどちらかの年金制度に加入するよう義務付けられています。
また、老齢年金の受給資格は以前は25年以上の保険料納付期間でしたが、平成25年から10年の保険料納付期間に短縮されました。

【厚生年金の加入期間】

1ヶ月以上厚生年金に加入していればOKですが、老齢年金の受給資格である10年の保険料納付期間が必要です。
例えば、会社員として9年働いて、その後自営業をはじめたが国民健康保険を一切払わなかった場合は老齢基礎年金も老齢厚生年金も両方とももらえません。もし1年分の国民健康保険を納めたら10年分の老齢基礎年金と9年分の老齢厚生年金が受給できます。

年金の加入期間延長

国民年金の受給資格を得るために70歳まで加入する事が可能です。
厚生年金は会社に雇用され続けるなら70歳まで加入可能です。

年金の支払い保険料

厚生年金は国民年金に比べて受給額が多い分、支払保険料も多くなります。

国民年金の支払い保険料

国民年金の支払い保険料は全員同額です。保険料は毎年見直され、物価や実質賃金などの世情を反映して決定されます。平成30年度は月額16,340円となっています。

厚生年金の支払い保険料

厚生年金の支払い保険料は個人個人によります。算出方法は、お給料とボーナスに保険料率(18.3%)を掛けて算出されます。

年金の受給開始

国民年金の受給開始

老齢基礎年金の受給資格を満たしているならば原則65歳から受給可能です。

60歳まで繰り上げて(早めて)受給する事もできますが、1カ月あたり0.5%が減額されてしまいます。最大30%減額されます。
逆に70歳まで繰り下げて(遅めて)受給する場合、1カ月あたり0.7%が増額されます。最大42%増額されます。

厚生年金の受給開始

老齢厚生年金は現在、60歳から65歳受給開始へ移行されている段階です。2030年には一律65歳からの受給開始になります。70歳まで繰り下げ受給でき最大42%増額されます。

年金の増額

支払保険料を増額して、老後に受給する年金を増やすことができます。詳細に関しては別記事で解説します。

国民年金の増額
  • 国民年金基金
  • 付加年金
  • 個人型確定拠出年金

参考記事:国民年金で受給額を上乗せする方法

厚生年金の増額
  • 厚生年金基金
  • 確定給付企業年金
  • 企業型確定拠出年金

参考記事:厚生年金で受給額を上乗せする方法

年金破綻問題

年金が破綻するんじゃないかと不安に思っている人も多いかと思います。その原因は少子高齢化と年金未納者がです。

平成29年の年金未納者はおよそ約3割(3人に1人が未納者)。何とも恐ろしい割合ですが、これは国民年金だけでの割合です。厚生年金なども含めた公的年金制度全体からすると全体の2%未満になります。さらに年金未納者への財産差し押さえ通告が始まったことにより年金納付率は少しづつ上がってきています。

将来、年金が破綻する可能性はゼロじゃありませんが限りなく低いでしょう。しかし、年金支給額の減少、受給期間の繰り下げなどは今後も問題になってくるでしょう。